適書(てきしょ)とは

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適書(てきしょ)とは・・・

乳幼児から高齢者まで最適の本を選び抜く

人はそれぞれ個性があり、一人ひとりに必要な本があります。人を見て、そのとき、その人に必要な最適な本を選ぶ。 それを代表の谷口とよ美(適書アドバイザー)は「適書(てきしょ)」といいます。 適書を選ぶことは、簡単ではありません。 谷口は適書を選ぶことを、一貫して仕事として取り組んできました。

コウノトリブックス®谷口とよ美が「適書」を提唱しています。

「本選びのプロ」のご紹介

コウノトリブックス®
代表 谷口 とよ美
適書アドバイザー

26年間に亘る学校図書館の業務で、生徒一人ひとりの個性に合った適書との出合いをつくる。
その経験を活かし、日本初の学校図書館の総合プロデュースを行う企業を創設。手掛けた学校は延べ4000校以上にもわたる。
また、公共図書館の設計から蔵書の選書まで数多く手掛ける「本選びのプロ」。
一般社団法人学校図書館マイスター協会 理事。

受賞歴
・第一回日本サービス大賞 地方創生大臣賞
・日本女性起業家大賞 最優秀賞
・日経WOMAN「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」リーダー部門賞
 など

谷口とよ美(適書アドバイザー)のエピソード

(エピソードその2)

「クソ・ババァ~!」
悪態をつく男子生徒を変えた一冊

新年度初めての授業の開始を告げるチャイムが鳴った。教室ではすでに授業が始まっている。
図書館でふと、人の気配を感じて顔を上げると、向かいの机に一人の男子生徒が座っていた。
目が合うなり、私に向かって、憎々しげに、

「クソ・ババァ~」
「私はクソでも、ババァ~でもない!」

と言い返すと、また、

「クソ・ババァ~」

と繰り返した。それが彼との初対面だった。

その後も一人で図書館にやってきては悪態をついた。その男子生徒は、副番長と言われていたが、やや一匹オオカミ的な存在だった。

その高校は、いわゆる底辺校。
読書などは無縁だった学校で、彼らにとっては新しい読書という文化が育ちつつあった。誰もが本を読んでみるという新しい経験をし、その面白さを口にしている中で、彼もその雰囲気に関心を持ち始めていた。

初対面の日から半年ほどたったある日、「クソ・ババァ~」と言わなくなっていたその男子生徒が、相変わらずの勝手に授業ボイコット中、「俺にも何か本を選んでくれ」とつぶやいた。
一冊の詩集『おかあさん』(サトウハチロー著)を手渡した。

翌日から、彼は職員室の前で、「先生はこの本を読んだことはないだろう」と、通る先生をつかまえては、「もの凄くいい本だから読め」と、感動の共有の強制を始めた。

先生に聞くと、彼は本を読んで感動して泣き、そして、感動をしみ込ませるように、校舎の裏で紫煙をくゆらせていたらしい。

この本が、お母さんがいなかったという彼の心の琴線をゆさぶった一冊となったことは間違いない。

※『詩集 おかあさん』(サトウハチロー著)
「おかあさんの匂い」「この世の中で一番」など
母と子のあたたかい愛情のつながりが伝わってくる珠玉の詩の数々。

(エピソードその1)

「何で“授業中に読むな”と言わなかったんだ!」
  ~番長が泣いた日~

荒れている学校の中で、流行の場となった図書館に不良と呼ばれる生徒、いわゆる番長が流行に遅れてはならじと「俺にも何か本を選んでくれ」と子分を従えてやってきた。
谷口はすぐに全4巻(※)のうち2巻の本を、「授業中に読んじゃ、ダメだよ」と言って手渡した。

2時限が経過したとき、
その番長が「何で授業中に読むなと言わなかったんだ!」と怒鳴り込んできた。

「だから授業中に読むなといったじゃない」
「なぜ泣くから授業中に読むなといわなかったんだ!う~」

どうも授業中に本を読んで、感動して男泣きし、嗚咽が止まらなかったようだ。
子分の手前、番長は「メンツが立たない」と怒っていたが、子分は笑いをこらえるのに必死だった。

この本が番長の心を大きく揺さぶった。
1冊の本(適書)との出合いはその人の人生を大きく変える力がある。

※『わが指のオーケストラ』(全4巻)(山本おさむ著/秋田書店)
<大正から昭和、激動の時代に生涯を聾(ろう)教育(手話)に捧げた男・高橋潔さんの生涯を描いた漫画。言葉があるということすら知らない、というセリフが突き刺さる>